
効果的に説明する技術
October 1, 2023
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Oct 8, 2023 06:27 PM
説明する技術が必要な理由
ビジネスの場であらゆる場合に頻発するプロセスがあります。
他者になにか説明することです。
しかし、説明は社会人でも苦手な人が多いです。話が長いと言われがち、説明術を学んだはずなのにうまくいかない、上司に意見を求められると固まってしまう、「結局、何が言いたいの?」と言われてしまう。
同時に、説明するコツはなかなかその場でのフィードバックが難しいのです。毎回説明する内容が異なるうえに、その場にはなんらかの目的があるから、フィードバックに消化されにくいものです。
そこで、説明する力について、体系的に考え方やコツをまとめることにしました。
多くの段にわけていますが、共通している考え方はシンプルです。
- 自分の中で何が言いたいのかはっきりさせる
- 短く結論からわかるように説明する
- 省略すべきものと、省略すべきでないものを峻別する
- 意味のあることを話す
自己理解と明確な伝え方
コミュニケーションのゴールを設定する
コミュニケーションのゴールを設定するというのは、単に話すためではなく、何を達成したいのかを明確に定義することです。これは、コミュニケーションが成功するかどうかを決定する重要な要素です。
- ゴール設定の重要性: コミュニケーションの目的を明確に定義することで、対話の構造を整理し、無駄な情報を排除できます。また、これにより相手が話を理解しやすくなり、理想的な結果につながります。
- ゴールの種類:
- 意見形成
- 行動変容
- 情報共有
- ゴールの明確化: グランツの行動科学研究によると、目標設定が行動の主要な動機付け因子であり、明確に具体的なコミュニケーションの目標を設定することで集中力とモチベーションを高めることが可能です。
- アンチパターン: コミュニケーションの全体的なゴールが設定されていないと、コミュニケーションの品質が低下し、情報が断片的になり、混乱や誤解を招きます。
次に具体的な例を示します: 例えば、あなたがプロジェクトのマネージャーで、チームと一緒に次のスプリントの計画を立てるとします。この場合のコミュニケーションゴールは何でしょうか。それは単に情報を共有することではなく、具体的なタスク割り当て、期日、そして各メンバーの責任範囲を明確にすることです。
コミュニケーションのゴールを設定することの重要性は、 スティーブン・コヴィーの有名な著書「7つの習慣」にも語られています。「始める前に終わりを思い浮かべる」、つまりコミュニケーションでも何を達成したいのかを明確にするということが重要だと彼は指摘しています。
ゴールの設定は、そのまま言葉に現れます。
しばしば、人は「◯◯をつくったのでみてほしい」という依頼をしますが、これでは「見た上で自由に言いたいことをいってほしい」というようなことです。本当にそうしてほしいならそれでもよいですが、自分のゴールを設定できていれば、別の言い方や準備の仕方があるはずです。
🙅♂️ 改善できる例: 「原案をつくったのでちょっとみてほしいです」
🙆♂️ よい例: 「原案をつくったので、ユーザーが直感的にわかるかの観点で意見がほしいです。」
まとめると、コミュニケーションにおいてゴールを設定することは、望む結果を達成するための最初のステップであり、無駄な情報を排除し、相手が話を理解しやすいように整理するための重要なフレームワークです。
短く結論からわかるように説明する
説明を行う際、結論から始め、要点を短く伝えることが重要です。言われたことを理解しやすくするためのテクニックの一つです。これにはいくつかの理由があります。
- 先入観を排除する: 話す前に結論を明らかにすることで、聞き手は情報を理解しやすくなります。先に論点を示すことで、話の全体構造を理解しやすくなります。
- 興味を引く: 話の最後まで聞き手を引きつけることができます。おもしろい結論を最初に明らかにすることで、詳細を知りたいと思うでしょう。
- 効率性: 目的が明確であれば、会議や議論が効率的に進行します。結論から始めれば、必要な情報だけを伝えることができます。
逆に、理由や根拠から話し始めてしまうと、話がどの方向に向かっているのか、何が重要なのかが最後まで明らかにならず、相手を混乱させてしまいます。
このような状況を避けるためのコツは、PREP法の活用です。これはビジネスの場面で頻繁に使用される手法で、P(ポイント:結論)、R(理由)、E(例:具体例)、P(ポイント:結論、まとめ)の順に話を進めることで、論理的な説明を効果的に行い、説得力を高めることが可能となります。
🙅♂️ 改善できる例: 「フィッシング攻撃への危機が取り沙汰されています。先月、大手企業がフィッシング攻撃により大量の個人情報が流出するという事態が発生しました。そのため、私たちも対策を講じなければなりません。」
🙆♂️ よい例: 「フィッシング攻撃への対策を強化し、社内ネットワークのセキュリティを高めるべきです。その理由は、最近、大手企業がフィッシング攻撃により大量の個人情報が流出するという事態が発生したからです。私たちもそのような被害に遭う可能性があるため、すぐに対策を講じる必要があります。」
ただし、結論から話すことが常に適切なわけではありません。聞き手の背景知識や前提知識、その場の状況によります。例えば、新しい概念や複雑な情報を伝える必要がある場合、まず基本的な説明から始め、徐々に詳細を追加し、最後に結論を述べる方が理解しやすい場合もあります。
結論を先に伝えるあるいはそれを遅らせるかの判断は、誰が聞き手であるか、何を伝えるべきか、なぜ伝えるべきかによります。また、効果的な説明は、聞き手の対話とフィードバックに基づいて調整することが肝心です。そのためには、結論をまず伝えて相手の反応を見て、それに基づいて説明を行うことが重要となります。
省略すべきものと、省略すべきでないものを峻別する
省略すべきものと省略すべきでないものを峻別する能力は、分かりやすく効果的な話し方に不可欠です。重要な情報とそうでない情報を見分け、主題から外れる可能性のある不要な情報を取り除くことで、相手に対するメッセージを明確に伝えることができます。
具体的には次のような観点が考えられます。
必要な情報と不必要な情報を区別する
- まず、話す内容が聞き手にとって有益かそれとも無関心がられるものか評価することが重要です。有益な情報とは、聞き手がアクションを起こしたり、新たな理解を得たりするのに役立つ情報です。対して、無関心気味な情報とは特に新たな価値を加えず、聞き手がすでに知っているか、話題にとって無関係な情報のことを指します。
- その上で、自分が伝えたいポイントと直接関連しない情報は適宜省略するようにします。情報が多すぎると聞き手は混乱し、本題を見失ってしまう可能性があります。
優先度をつける
- 当然、すべての情報が同等に重要なわけではありません。ですから、情報には優先度をつけるべきです。伝えるべき情報の中で最も重要なもの、二番目に重要なもの……という具体的なランキングをつけることにより、どの情報を強調すべきか、どの情報を省略すべきかがはっきりとします。
聞き手の既知と未知を考慮する
- 最後に、話す内容が聞き手の既知の範囲にあるのか、未知の範囲にあるのかを考慮することが大切です。既知の情報を再度伝えることで時間を浪費することがありますが、一方で未知の情報ばかりを伝えると聞き手が理解できない可能性も出てきます。これは特に専門的な知識を伝える際に重要となります。
これらをうまく行うためには、「Pyramid Principle」や「MECE」などのフレームワークを活用すると効果的です。これらのフレームワークは情報を構造的に組み立て、優先度をつけ、必要不必要を分けるのに非常に有用です。
ただし、こうした枠組みはあくまでツールであり、最終的には関連性、重要性、理解度を総合的に判断し、どの情報を伝えるべきで、どの情報を省くべきかを決定する能力が求められます。
意味のあることを話す
意味のあることを話すためには、最初に自分自身がその主題について深く理解していることが前提です。それによって、文脈に合わせて的確に伝えられますし、相手の関心や興味のレベルを考慮しながら話すことも可能になります。
- 情報の価値を理解する: あなたの知識は、他人にとっては新しい価値を持つ可能性があります。しかし、その知識が他者にとって有用であるかどうかを踏まえ、それをどう伝えるか決めることが重要です。
- 相手の視点を考慮する: 自分のみならず、相手の視点や背景知識も理解することが求められます。相手が必要としている情報は何か、どの程度詳細に説明すべきかを考え、それによって話す内容や言葉の選び方を調整します。
- 異なる視点からの説明: 例えば、複数の視点から同じ事象を説明することで、より理解を深められます。これはマクロレベルからミクロレベルまで、様々な視点から観察することで豊かな知識を提供することができます。
情報の伝達は一方通行のプロセスではなく、双方向のコミュニケーションです。意味のあることを話すためには、ただ情報を伝達するだけでなく、相手にどのように理解され、そしてどのように反応されるかについても理解が必要です。
アンチパターンとしては、「難しい言葉を使って印象を与える」ことが挙げられます。難解な専門用語を用いれば知識を見せつけることができますが、それは結局のところコミュニケーションではなく、一方的な情報の押し付けになります。意味のあることを話すことは、必要な情報を提供し、相手の理解を助けることであり、そのためには適切な言葉を使って情報を伝達することが必要です。
有名な研究に、「パレートの法則」があります。これによれば、コミュニケーションの大部分(約80%)は一部の要素(約20%)から生じるとされています。つまり、意味のある会話をするためには、最も重要な20%の情報を特定し、それを順次伝えることが大切だと言えるでしょう。 # コミュニケーションの目的と目標
イシューを明確にする
イシューを明確にするとは、コミュニケーションの主題・中心となる問題や議論をはっきりさせることを意味します。特に会議や対話の際には、話し手・聞き手双方が何について話し、何についての意見を求めているのかを理解することが非常に重要です。
- 相手に対する理解: 相手が何を理解できているか、何に興味があるか、何について誤解を持っている可能性があるかを把握し、それに基づいて対話を進めてください。
- 適切なタイミングでの説明: 全てを一度に説明するのではなく、一つ一つのポイントについて深く掘り下げて説明します。関連性のあるトピックを一緒に話すことで、全体の結論や解決策につながる視点を提供することができます。
- 質問の活用: 職場においては、特に質問をうまく活用することが鍵となります。質問を通じて相手の意見や考え方を引き出すとともに、自らの主張やイシューを明白に提示することができます。
さらに、イシューを明確にすることは、言葉の理解や認識のずれを防ぎ、誤解や混乱を未然に防ぐ効果もあります。いわば「共通の理解」を築くための一歩とも言えるでしょう。
具体例を挙げてみましょう。プロジェクトが遅延している難しい状況下では、「問題の本質はリソース不足である」とあるメンバーが主張し、「それは部分的な問題で、根本的な問題は計画の不足」と別のメンバーが主張したとします。ここでは、重要なのはどの側が正しいかを決める事ではなく、複数存在するイシューが各々何であるかを把握し、それぞれについて有効な対策を考えることです。
以上のように、イシューを明確にすることで、より効果的なコミュニケーションを図ることが可能になります。
相手のモチベーションを抑える
効果的なコミュニケーションにおいては、相手のモチベーションを理解し、それに対応することが非常に重要です。この考え方は、一般に「エンパシー」として知られています。エンパシーとは、他者の感情や視点を理解し、共有する能力を指します。
- まず、話す前に相手の興味や関心を探ります。これを念頭に置くことで、効果的な情報提供や説明が可能となります。一方で、自分の視点だけから情報を提供すると、情報の妥当性や役立つ度合いが低くなる可能性があります。
- 次に、相手の立場や視点から話を組み立てます。ここで、心がけるべきは「自分が相手の立場だったらどう感じるだろう」、「自分ならどのような情報をほしいと思うだろう」など、自己中心的な考え方から離れ、相手の視点を尊重することです。
- さらに、相手の反応を観察し、フィードバックを適応させます。人によってモチベーションや興味は異なるため、一方的なコミュニケーションではなく、双方向性を確保することが求められます。
相手のモチベーションといっても、それはこの人はこういう性格だ、のような個人的なことよりも「組織やチームとして何を目標にしているか」に立脚して考えます。
🙅♂️ 改善できる例: 「この新しいプロジェクトは、私たちがより多くの顧客を獲得するのに役立つと思います。」
🙆♂️ よい例: 「この新しいプロジェクトは、私達が目指している市場拡大の目標を達成するための重要なステップです。それは新たな顧客層を開拓し、私たちのブランドの認知度を高めることにつながります。」
全体感と現在地を明確にする
いきなり個別論点が始まると、物事を立体的に把握しようとつとめる人ほど、
- 今どこの話?
- なんでその話を今してるの?
- 物事をバランスよく捉えれてなくない?
- 他の話は?
と疑問で頭がいっぱいになってしまいます。
今取り扱おうとしている事柄が、全体から見るとどのような位置にあるかを、全体感→位置づけの説明で示すべきです。相手は聞く準備ができるだけでなく、説明者がどのように物事を理解して話しているかも把握できます。
- ビッグ・ピクチャーを示す: まず、話の導入や冒頭で全体のコンテキストを示すことが重要です。全体感を共有することで、相手が話に集中しやすくなります。具体的な手法としては、情報マッピングやマインドマッピング、フローチャートを使ってビジュアルに表現することがあります。
- 現在地の明示: 進行中のプロジェクトや議論のステータスを定期的に共有し、現在地を明確にします。状況を把握することで、次に何をすべきか判断しやすくなります。ステータスアップデートは、ミーティングの冒頭で行うことが一般的です。
- 明確な言葉遣い: 言葉の選び方や表現を明確にし、曖昧さを避けることも大切です。主観的な表現を避け、客観的かつ具体的な表現を心掛けましょう。
- コンテキストの共有: 情報を伝える際には、どのような背景や目的で話しているのかを相手に理解してもらうためのコンテキストを提供することが重要です。全体の状況や目標を説明することで、相手も話に参入しやすくなります。
- スムーズな遷移: 話の展開をスムーズに行うことで、相手が頭を切り替える時間を最小限に抑えることができます。情報のつながりを意識して、遷移をなるべく自然に行うよう心掛けましょう。
🙅♂️ 改善できる例: 「今日はアプリのデザインについて話したいです。ヘッダーのここの部分について今迷っていて」
🙆♂️ よい例: 「今日はアプリの新規登録画面のデザインについて話したいです。現在要件定義のたたきができているのでそれをもとに仮で全画面のデザインを作成しています。 その中で、動線の置き方について迷ってる部分があるので相談したいです。」
ひっかかりポイントはたいてい決まっている
非効率的なコミュニケーションにはよく一定のパターンがあります。そういった「ひっかかりポイント」が何なのかを理解し、それを適切に回避または管理することで、円滑な対話を進めることができます。
実態の理解の誤差
この問題は典型的には、伝達したい情報を理解するプロセスで生じます。たとえば、あるプロジェクトについての具体的な詳細が、関係者間で異なる解釈を引き起こす可能性があります。これは特に、複雑なタスクや専門知識を必要とするプロジェクトで顕著です。
- 解決策の一例としては、関係者全員がその議題について同じ認識を持つための「共有知識」を作ることがあります。これによって、間違った解釈や誤解を事前に防ぐことができます。
対話の流れの混乱
もう一つの典型的な問題は、対話の流れが乱れることです。これは、主に話者が話の流れを管理できない場合に生じます。話が飛躍しすぎて聞き手がついていけなかったり、重要な情報が埋もれてしまうなど、様々な問題が発生します。
- 解決策の一例としては、「話のフレームワーク」を作ることがあります。概要から始め、主要なポイントを挙げ、その後で具体的な詳細を説明する。これによって、聞き手は情報を理解するための「フレーム」を手に入れ、話者は話の流れを管理しやすくなります。
おさえるべきポイント
説明の際には、相手が疑問に思う可能性のあるポイント、つまり「ひっかかりポイント」を意識することが重要です。
典型的なひっかかりポイントは備えることができます。 考えをまとめている段階で、以下のような自問自答をこころがけるとよいでしょう。
- 本当?
- なぜ?
- いつ?
- なんのために?
- そもそも〜?
- 他にもあるのでは?
- どうしたい?
意味のあることを話す
コミュニケーションの中で最も重要なことの一つは、自分の言葉に意味が含まれていることです。それは、ただ単に言葉を並べて話すのではなく、あなたのメッセージが明確で、伝えたい内容がはっきりと相手に伝わることを意味します。
- 明確な目的: 自分が何を伝えようとしているのか明確に理解し、それを適切な言葉で表現してください。例えば、設計案を提出する際には、その設計案が具体的に何を解決しようとしているのか、どのような機能を持っているのかを明らかにします。
- 無駄の排除: 伝えたい内容を簡潔にまとめ、不要な情報は排除してください。情報のノイズはメッセージの受け手を混乱させ、理解を妨げる可能性があります。たとえば、売上報告をする際には、特に重要なデータのみを抽出し、それらのデータが示すトレンドや影響に焦点をあてます。
- 関心の喚起: 自分の話す内容が聞き手にとって関心のある内容であることを確認します。これは、特定のオーディエンスに対する話し方の調整や、文脈に適した話題の選択によって達成できます。「意味のあることを話す」とは、話す内容が聞き手にとって価値があり、彼または彼女の関心を引くものであることを意味します。
- 具体例の提示: 具体的な事例やエビデンスを提供することで、抽象的な理論や主張に具体性と信憑性を与えることができます。具体例を用いると、情報が視覚化され、理解しやすくなることが知られています。
以上のガイドラインを念頭に「意味のあることを話す」ことを心がけると、効果的なコミュニケーションが実現するでしょう。相手にとって価値ある情報を提供し、鮮明さと説得力を持つメッセージを発信することが重要です。 # 厳密に話す
5W1Hを明確にする
コミュニケーションの基本中の基本とも言える “5W1H” ですが、情報を的確に伝える上で、これが明確になることが重要です。5W1Hとは、「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の頭文字を取ったもので、これらを元に情報を整理し、相手に伝達します。
- Who(誰が): このことに関与している人物や組織を特定します。例えば、プロジェクトの実行者、リーダー、または意思決定機関を明確にすることにより、責任と役職をクリアにします。
- What(何を): 行われる行動やイベントの具体的な内容を把握します。具体的なアクションや目標を明確にすることで、考え方や見える結果を理解しやすくします。
- When(いつ): 指定されたアクションがいつ行われるか、または状況が発生した正確な時間や期間を知ることが重要です。これにより、期限管理やスケジュール調整が効果的になります。
- Where(どこで): 物理的な場所や、あるいは一般的な状況のコンテクストを提供します。これらの情報は、具体的な行動や進行中のプロジェクトの方向性を理解するのに役立つことがあります。
- Why(なぜ): この部分は、行動の背後にある理由や目的、または特定の状況が何であるかを説明します。これは理解を深め、全体のビジョンや目的に対する関与を強化するのに役立ちます。
- How(どのように): アクションがどのように行われるか、または特定の結果がどのように達成されるかの具体的な手順や方法を示します。これは、詳細な計画や戦略を理解し、適切に実行するのに役立ちます。
5W1Hを用いて意思疎通を行うことで、不明確さを排除し、情報の伝達エラーを減らすことが可能です。すべてのコミュニケーションにおいて明確性が求められますが、特に複雑な事項を扱う場合や、新しいプロジェクトやアイデアを提出する際には、この5W1Hがとても有用です。
確度を分けて話す
確度を分けて話すというのは、自身の発言が事実に基づく情報であるのか、推測か、理論か、あるいは意見かといった事の明確性を相手に伝える重要なスキルです。情報のタイプと確度を明確にし、それを伝えることで、コミュニケーションの質を向上させることができます。
- エビデンスに基づく主張: これは、確かなデータ、研究結果、確認された情報に基づいています。
- 例: “過去の研究では、昼間の仮眠が一時的なパフォーマンス向上をもたらすことが確認されています。”
- 推測に基づく主張: 推測は確かなデータが無いことを認め、仮説や予測に基づいた情報であることを明らかにします。
- 例: “昼寝がパフォーマンス向上に役立つと予想されますが、これはまだ立証されていません。”
- 理論に基づく主張: 一般的な理論、法則、原則に基づく情報であることを示します。
- 例: “身体と心の疲労がパフォーマンス低下の一因とされていますから、昼寝によってそれらを軽減することが可能なら、一般的にはパフォーマンスは向上するでしょう。”
- 意見に基づく主張: これは真実であると証明されていないが、自身の経験、観察、信念に基づく考えや感想です。
- 例: “私の経験上、昼寝をすると午後の作業効率が上がるように感じます。
情報の伝達において、確度の管理は非常に重要です。
事実と非事実を区別できてない説明は、聞き手がかなり不安になります。その人の説明のどこが事実でどこが非事実かをすべての点で疑わしくなってしまうからです。
コツは、以下の点を注意すること。
- 決まっていることと決まっていないことを分ける:
- 事実と解釈・想定を分ける
- 解釈・想定を述べる場合、主語があるばあいは主語をつけること。
そして、確信度が適切に峻別することは、今後自分たちが何を明らかにしていかなければいけないかを明確にすることができます。
また、アンチパターンとして、すべての情報を同等に扱い、その情報源や確度を明確にしないことがあります。これは、誤解を招きやすいため避けるべきです。例えば、自身の意見と確かなデータを混同して伝えてしまうと、その情報の信憑性が不明確になってしまいます。
🙅♂️ 改善できる例: 「ここに大きな画像がくるかもしれないので、ボタンを目立たせようということだったので赤が最適です。」
🙆♂️ よい例: 「この画面に大きな画像が表示される場合が想定されます。その場合のために、ボタンを目立たせるということが決まっています。 その上で、色・サイズを検討しましたが、比較した結果私は赤が最適だと思いました。」
MECEに情報を整理する
MECE原則は、コンサルティングの業界でよく用いられる情報整理の手法で、“Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive”の頭文字を取ったものです。ムチチとは、ひとつの問題を相互排他的かつ包括的に分類するという意味が込められています。
- 相互排他的 (Mutually Exclusive):各カテゴリーが重複しないように情報や要素を整理します。例えば、“動物”を分類する際に“哺乳類”と“鳥類”を同時に使った場合、“コウモリ”のような哺乳類でありながら鳥類のように飛ぶ動物に混乱が生じます。そこで、一つだけの適切なカテゴリーに振り分けることで、明確な区別を確保します。
- 包括的 (Collectively Exhaustive):全ての情報や要素を網羅するようにカテゴリーを設定します。同じく“動物”を分類する際に“哺乳類”と“鳥類”だけにした場合、“昆虫”や“魚類”等、その他の動物群についてはどう扱うべきかが不明確となります。それらも含めた全体を網羅するように分類を行なうことで、情報の抜け漏れを防ぎます。
情報をMECE原則に基づいて整理することで、情報過多や情報欠如といった現代特有の問題を回避し、全情報を完全に一覧化・細分化することが可能となります。これにより、情報の繋がりや全体像が明確になるだけでなく、情報の重複や欠落も防げるため、複雑な問題、事象、情報を効率的に整理・分析・説明するのに役立ちます。言葉や情報を分類する際にもMECE原則は使えます。たとえば、ニュース記事の題材を選る際にも、“政治”、“経済”、“科学”、“芸術”等、重複しないような(Mutually Exclusive)かつ全ての項目を網羅するような(Collectively Exhaustive)カテゴリーを設定すれば、情報をきちんと分類できます。これにより、読者も必要な情報を効率的に探し出すことが可能となります。
しかし、情報を整理する際には、MECE原則に固執し過ぎず、状況や目的に応じてフレキシブルに対応することも重要です。全ての情報が必ずしもMECE原則に則って整理できるわけではなく、時と場合によってはその他のフレームワークを組み合わせて使用することもあります。
コツは、表形式で表現すること。たとえば、「比較コンテンツの1-3位は◯◯にしたい」とだけ話すと、他には?という話になります。あらかじめ、全パターンについて整理しておくこと。
🙅♂️ 改善できる例: 説明者「A様は麺類が好きと仰ってました。さっぱりしたものがいいようです。 ということで、ラーメン・うどん・パスタ・」
🙆♂️ よい例: あああ
曖昧な言葉を忌避する - はっきり話す
曖昧性は、効果的なコミュニケーションの障害です。私たちが目指すべきなのは、誤解や混乱を最小限に抑え、共有情報が受け手に明確に伝わることです。
- 曖昧な表現は避ける:曖昧さが含まれると、意味が不明確になります。 例えば、「多くの人がそれを好き」という表現は、「多くの人」とは具体的に何人か、また、それが全体の何パーセントを示すのか、といった具体性が欠けています。明確にするためには、「80%の人々がそれを好き」というように具体的な数字を使用するべきです。 また、想定、調整、整理といった、それ自体意味が広すぎる言葉も注意が必要です。
- 明快な言葉を選ぶ:あいまいな表現を避けるためには、確固とした意味を持つ単語を選ぶべきです。「大きい」という言葉は相対的で、一人ひとりの解釈が異なる可能性があります。その代わりに、「3メートル」といった具体的な数値を使用した方が良いでしょう。
- 適切な修飾語を使用する:修飾語は、主要なアイディアを強調したり、明確にしたりするのに役立ちますが、不適切に使用すると曖昧さを生み出す可能性があります。例えば、「かなり高い」という表現は、何が基準であるかが明確でなければ、その意味は曖昧になります。「平均より30%高い」のように修飾語を具体的に用いると、相手が理解しやすくなります。
- 事実と意見を区別する:事実は確認可能で客観的な情報を提供しますが、意見は主観的で解釈が広がりやすいです。主張を行う場合は、事実と意見を明示することで、曖昧性を回避できます。
曖昧な言葉を避け、明確に表現することで、相手とのコミュニケーションがスムーズになり、誤解を避けることが可能です。すべての情報が明確に伝わるように、適切な言葉を選ぶことに心を配りましょう。この工夫をすることで思わぬ誤解や対立が避けられるだけでなく、誠実さや信頼性が相手に伝わるというメリットもあります。
主語・動詞・目的語を明確にする
主語、動詞、目的語を明確に表現することは、コミュニケーションの効果を向上させるための基本的な要素です。これにより、情報の移動が効率的になり、誤解の可能性を最小限に抑えます。
- 主語
明確な主語は、誰が行動を取るべきか、または誰が情報の主要な主体であるかを特定します。曖昧な主語は、期待される行動の混乱を引き起こす可能性があります。たとえば、「プロジェクトを進める必要がある」という表現は、誰がその行動を行うべきかを示していません。一方、「私たちはプロジェクトを進める必要がある」と明示すると、主語がはっきりし、誰が行動するべきかがはっきりします。
- 動詞
効果的なコミュニケーションでは、アクションを取る必要がある場合、その行動を具体的に示す動詞が必要です。例えば、「より効果的にする必要がある」という表現は曖昧で、具体的な行動を示唆していません。より具体的な動詞を使用し、「私たちは週次ミーティングの効率を向上させるために、議題を前もって共有する必要がある」と表現すると、具体的な行動が明確になります。
- 目的語
そして最後に、目的語は、行動の対象や焦点を明確にします。この情報が明確でないと、ディスカッションが主題から逸れたり、意図しない方向に進む可能性があります。例えば、「プロジェクトを改善する必要がある」という表現では、改善が必要な具体的な側面が不明確です。しかし、「私たちはプロジェクトのスケジュール管理を改善する必要がある」と具体的に指定すると、改善の焦点が明確になります。
上記の要素を明確にすることで、説明が一貫し、混乱を避けることができます。また、これにより、全体のコミュニケーションが改善され、より具体的で効果的な議論を行うことができます。
分けて話す
話すときに一気に長々と話すのは、リスクのある話法です。
情報が多すぎると、聞き手はそれをどのように整理し、どの情報が重要なのかを判断すべきか混乱してしまいます。これを避けるためには以下のような対策を講じることが有効です。
- ポイントに絞る:伝えたい主要な点をはっきりさせ、それに絞って話す。長々としたモノローグよりも、コンパクトで焦点を絞ったメッセージの方が効果的です。
- 情報を分割する:情報を小さな部分に分割し、一つ一つ順番に伝えていく。一度に多くの情報を伝えると、相手はそれを消化するのに苦労します。
- 一貫性と流れを持たせる:一貫性のあるストーリーでそれを伝えると、自然と伝えたい情報が頭に残る。話の流れを持たせることで、相手が個々のポイントを理解しやすくなります。
有名な研究においても、情報過多は人の理解を難しくする一方で、適度に情報を分割し、それぞれを一貫性のある流れで伝えると、理解度が高まることが証明されています(Miller’s Law)。これは、一度に処理できる情報の量が限られているためです。
また、有名なフレームワークである「パレートの法則」も参考になります。この法則によれば、全体の20%の努力で80%の結果を得られるとされています。これを会話に生かすとすれば、全体のトピックの中で最も重要な20%のポイントを明確に伝えることで、全体の情報の80%を理解してもらえるかもしれません。これは一見、情報を省略しているように見えるかもしれませんが、実際には情報の意図を明確に伝え、相手の理解を助ける手段なのです。
相手の頭の中に理解を組み立てる
簡潔に伝えることは聞きやすいだけではありません。
話を途中で折られないためにも重要です。
口頭でなにか説明する必要があるということは、たいていそれなりの複雑さが伴っているトピックだということ。うまく話題を、論点A, 論点B..というように整理したとしても、次々に続けて説明すると、ちょうどいいところでコメントすることができません。
「すずらん通りには高齢者が多いこと → よって老人ホームをつくるべきだ」といったながれを全て話したあとに、
- なぜすずらん通りに着目するの?
- 高齢者が多いのは本当?
といった前半へのツッコミどころがでると話がふりだしになってしまいます。そしてちゃぶ台がえしのような展開になります。だから、キリのいい単位で認識に問題ないかを確認しながら話すことが効果的です。 3分以上連続で話したら長いと思ったらよいです。
一気に話していいときは、論点A, 論点Bに対して誰もコメントがないことが保証されている時。 純粋な一方的説明の場に限られます。
対比を用いて説明する
ある事柄を理解するための強力な手段として、対比を用いる方法があります。
なにか問題になる=議論になるということは、何らかの違いが存在するということ。 ではその違いがなにかを明らかにして、情報の中から重要な差分を見極め、それを明確に伝えることが有効です。
対比を用いると、情報の伝達が非常に円滑かつ明確になります。特に、新しい概念やアイデアの導入時、比較的複雑なデータの解説時、そして意思決定や選択肢の提示時に有効です。
- 新しい概念やアイデアの導入: 見知らぬ新しいアイデアを理解しようとするとき、比較対照が利用できます。例えば、「この新しい技術は、既存のXYZと同じように動作しますが、AB的な能力を持ち、その結果としてCDする」と説明すると、新しい技術がどういうものであるかについての理解が深まります。
- データの解説: 難解なデータを説明するときも、対比を使用すると理解が深まります。例えば、「昨年の第四四半期に比べ、今四半期の売上が20%増加しています」のように、相対的な視点を与えることで、統計や数字が持つ真の意味を伝えることができます。
- 意思決定や選択肢の提示: 対比を利用すると、有利な点と不利な点を説明し、その結果としてより効果的な意思決定を補助することができます。例えば、「オプションAは、オプションBに比べて初期コストは高いですが、長期的には運用コストが低いです」のように説明することで、全体像を確認しやすくなります。
ここで重要なのは、対比を用いた説明が、比較対象についての事前知識を前提とすることです。これはコミュニケーションの文脈と目的を共有するために不可欠なステップであり、無害な前提を確認することで、誤解を避けることができます。このようにして、対比を用いた説明は聴き手の理解を支え、より豊かな対話を可能にします。
🙅♂️ 改善できる例: システムAとシステムBを評価してみました。それぞれ説明します。 Aは赤色で、Bは青色です。 Aのスクリーンは大きく、Bのスクリーンは小さいです。 AはX社が作ったもので、BはY社が作ったものです。
🙆♂️ よい例: システムAとBを評価しました。 重要な差分は、スクリーンの大きさで、Aのほうが大きく、Bが小さいです。その分、Bは価格が安いですね。 ほかにも多少違いがありますが、スクリーンの大きさと価格で決めるといいとおもいます。
具体例を交えて説明する
具体例を交えて説明することは、高いレベルのコミュニケーション技術です。人は物語性に引きつけられ、具体的な情景やエピソードによって情報をより深く理解することが可能となります。以下に、その重要性と適切な具体例の使用について詳しく見ていきましょう。
- 物語性と心理
人間の心は物語性に強く引きつけられます。実際に、心理学者のことバリー・シュバーツは “The Paradox of Choice” という研究で、物語は情報を記憶し、伝える強力な方法であることを示しました。具体的な例や物語は、抽象的な概念やデータだけでは伝わらない感情やニュアンスを伝えるのに役立ちます。
- 具体的側面の強調
具体例を提供することは、リスナーにより具体的な理解を提供します。たとえば、「最近、我々のプロダクトの売上が10%増加した」と言うだけではなく、「具体的には、昨月は200個だった我々の商品の売上が、今月は220個に増加しました」というように、具体的な数字を提供することで、話す内容がより現実的に感じられ、リスナーの理解が深まります。
- 抽象概念の具体化
抽象的な概念は理解しにくいものです。しかし、具体例を用いると、これらの概念を明白にすることが可能です。たとえば、「顧客満足度の改善」という抽象的なテーマを話す時、具体的なエピソード、例えば「ある顧客が我々の新しい返品ポリシーにより、返品処理が容易になったと喜んでいた」といった内容を提供することで、抽象的な概念は具体的な形になります。
- 視覚的イメージの形成
人は視覚情報を非常によく記憶します。ですので、話すことで視覚的なイメージを形成することができる例を提供すると、その情報がより記憶に残ります。たとえば、「プロジェクトは着実に進行している」と伝える代わりに、「プロジェクトの完成ラインは目前に迫っており、全員がフィニッシュラインを目指して全力で走っている」といった形で、視覚的なメタファーを使用すると有効です。
具体例を交えることは説明力を向上させ、聞き手の理解を深めるのに非常に有用です。それは単に事実を伝えるのではなく、その事実を具体的、感情的、そして記憶に残るものに変えます。それにより、あなたのメッセージはより鮮明に、そしてより強く伝わるのです。 # 簡潔に話す
主題から外れる話は後回しにする
主題から外れる話を後回しにすることは、コミュニケーションの中で非常に重要なポイントです。なぜなら、これがうまく行かないと会話が散漫になり、聞き手が何が重要なのかを見失う可能性があるからです。
- 一貫したストーリーライン: 有効なコミュニケーションは一貫したストーリーラインに従います。どのポイントが主要なテーマに関連しているかを判断し、目標から外れる話は適切なタイミングで取り上げるようにすることで、理解を深めることができます。
- 聞き手の注意を維持する: 主題から外れる話を適切なタイミングで後回しにすることで、聞き手の注意を本題に集中させ続けることができます。このことは、聞き手が予期しない情報によって混乱したり、重要な内容を忘れたりするのを防ぎます。
- 適応性: 一貫したストーリーラインを維持しつつも、必要に応じて適応することが大切です。適切に話題を切り替えるためには、あなた自身が主題の全体像を把握していることが重要です。これにより、一見無関係に見える話でも、それが実際には大きなテーマにどのように関連しているのかを示すことができます。
- アンチパターン: 残念ながら、多くの人は説明の途中で話題を変えることがあります。これは通常、話の流れを維持するのではなく、自身の思考のリードを取ることに重視してしまうためです。
- 豊富な例: 例えば、プロジェクトの更新情報を提供しているとき、主な進捗と問題点を述べた後で、それとは直接関係のない新しいアイデアや提案を紹介すると、聞き手が混乱する可能性があります。そこで、これらの新たな情報は、主要なテーマに触れた後で取り上げるのが良いでしょう。
以上のことを心がけることで、あなたのメッセージはより明確になり、効果的なコミュニケーションが可能になります。
分かりきってることを話さない
説明を行う際には、相手に何か新しい価値を提供することが重要です。自明の事実や、広く理解されている一般論をそのまま説明するだけでは、相手に対するあなたの付加価値は低くなります。たとえば、「私たちの社会は少子高齢化している」というようなことを言うのは、それが既知の事実であるためほとんどの場合で役に立ちません。
しかし、一般的な認識がぶれている場合や、当然の事実を確認する目的でなら、これらの事実を話すことも有用です。この場合、確認するだけでなく、相手の理解を深めるように新しい視点や詳細な情報を提供することが重要です。
そのためには、相手がどの程度の知識を持っているのかを把握し(時には聞き)、それに基づいて説明を調整することが必要です。
聞き手の知識レベルを推測する
自明なことを話す前に、相手が既にその内容を理解しているかどうかを推測します。聞き手の知識レベルや関心、経験等を考慮に入れ、話す内容の適切性を考えましょう。例えば、ITの専門家に対して基本的なコンピュータの操作方法を説明するのは無駄であると言えます。
フィードバックを得る
明確な質問や相槌などを用いて聞き手の反応を観察し、状況に応じて説明内容を調整します。対話形式のコミュニケーションでは、相手の反応を見て自分のメッセージが理解されているかどうかを確認することが可能です。
意外な情報を提供する
自明であろうと思われることが実は新知識である場合もあるので、自分が知っている情報が一般的に知られているかどうかをチェックするのも重要です。これにより、ユニークな視点を提供して新たな洞察を引き出すことができます。
例えば、エンジニアリングの世界では、DRY(Don’t Repeat Yourself)の原則があり、この原則はコードの重複を避けるだけでなく、説明の際にも欠かせない要素です。同じ情報を繰り返すことで、中心的なメッセージが希薄になり、リスナーの関心を失う恐れがあります。同様に、既知の情報を話す時には、それが新たな洞察や理解に結びつくような視点で提供することが重要となります。
このように、分かりきったことを話すことを避けるためには、自分の知識と聞き手の知識レベルを照らし合わせ、必要かつ有益な情報だけを選んで伝えることが大切になります。
🙅♂️ 改善できる例: IT業界は日々進化しています。それは常に新しい技術が開発され、古いものが置き換えられるからです。
🙆♂️ よい例: IT業界の進化のトレンドはAIが牽引しています。特に最近では、ChatGPTを自社サービスに組み込むことでこれまで実現できなかった価値提供を模索しているサービスがたくさんあります。
書いてあることを読み上げない
ミーティングでアジェンダの内容をただ読み上げるだけでは、時間とお金の無駄。
参加者が自分で読むことができる情報を再確認することであり、新たな価値が提起されていません。
事前にアジェンダを共有し、それぞれの参加者が内容を理解した上でミーティングに臨むことが理想的です。その上で、ミーティングではより深い議論や意思決定に時間を割くべきです。
では、具体的にミーティングで何を話すべきかというと、以下の要素が考えられます:
- 解釈と洞察:アジェンダの内容について、あなた自身の解釈や洞察を共有します。これは、他の人が見落としているかもしれない視点を提供することができます。
- 質問と懸念:アジェンダの内容について、あなたが持っている質問や懸念を提起します。これは、問題点を明らかにし、解決策を見つけるための議論を促進します。
- 提案とアイデア:アジェンダの内容に関連して、あなたが持っている提案やアイデアを提出します。これは、新たな方向性を示し、進行中のプロジェクトやタスクに対する新たなアプローチを提供します。
- 意思決定と行動計画:アジェンダの内容に基づいて、必要な意思決定を行い、具体的な行動計画を立てます。これは、ミーティングの結果を具体的な行動につなげ、進行中のプロジェクトやタスクを前進させます。
少なくとも、ミーティングの準備をするということは上記のようなテーマを検討しているはずです。
ということは、事前にかかれているアジェンダの詳細度は議論の質を左右することになります。
質の高い会話をする
取り繕わなくてOK
説明の際には、事前に準備できていなかったものを指摘された時、その場で考えて取り繕おうとしたくなるもの。
しかし、あまりいい結果をもたらしません。スッキリ認めることです。そもそも、その場を埋めるためにひねり出した答えはたいてい質が低いです。それを考えていたかのように話すと、「この人は成立する話としない話が区別できていない」という受け取り方になってしまう。
何故取り繕わなくて良いのか
コミュニケーションにおいて、事実関係や意見を取り繕うのは間違った行為です。取り繕うというのは、自分の本心や真実を偽る行為であり、これは最終的に信頼を損なう行為となり得ます。誠実さと透明性は、コミュニケーションにおける信頼関係の基盤となります。しかし、これは自分の間違いや不確宝を隠す行為と一緒に捉えられることがあります。ここで大切なのは、自分の間違いや不確宝を認め、それを改善する意欲と行動があるということを示すことです。
準備できなかった、かつ妥当な案がその場ででてこない場合は、あっさり認めてしまったほうがよい。あなたの説明の場は、「あなたがその場で全て説得してみせる」ためではなく「組織で前に進む」ためにあるからです。大前提、時間をかけて完璧なものをしあげる人よりも、適切なところから情報を集めてすぐに組み立てていける人のほうが優秀と評価されます。
その上で、追ってまた報告することにするか、あるいは方向性をその場で確認すればいいのです。
そして、情報が確定できなかったとしても行き止まりにしないこと。例えば、その未確定事項がいくつかのパターンで想定されるなら、その話をしてしまう。その先のシナリオが握れればその後スムーズにリカバリできるわけですから、十分収穫です。
取り繕わない具体的な方法
取り繕わないためには、以下のような方法が有効になるでしょう。
- 間違えたことを認める: 間違いを認めることは、自分が完璧でないことを認めることと等しいです。しかし、それによって信頼関係が築けることもあります。早めに間違いを認め、解決策を見つける努力をすることが大切です。
- 素直に感じたことを伝える: 自分が感じたことや思ったことを素直に伝えることで、他人との信頼関係を深めることができます。ただし、相手の気持ちを考慮した上で伝えることが大切です。
- そこから学ぶ: 自分の間違いから学ぶことで、次に同じ間違いを繰り返さないようにすることができます。これは、自己改善と成長を促進するために重要なステップです。
🙅♂️ 改善できる例: 説明者「A様は麺類が好きと仰ってたのでラーメンにします。」 被説明者「温かいか冷たいかは聞いた?うどんやそばがいいかもしれないよ?」 説明者「あ、えっと、麺類といえばラーメンなので、、」 被説明者「いや、聞いたのか聞いてないのかでいうと?」
🙆♂️ よい例: 説明者「A様は麺類が好きと仰ってたのでラーメンにします。」 被説明者「温かいか冷たいかは聞いた?うどんやそばがいいかもしれないよ?」 説明者「聞いてなかったので確認します。それでは、どれかを聞いた上で近場の食べログ上位のお店にしますね?」 被説明者「わかりました。一応予約前に私に確認してください」
返事をする
返事をする、とは一見簡単な行為のように思えますが、効果的なコミュニケーションにおいては大切な要点の一つです。
返事をすることの礼儀などよりもなどよりも、あなたが元の発言をどう認識し、これから何を話そうかに関する大きな手がかりだからです。
では、効果的な返事とはなにか?
- 明確性: 明確な返事は誤解を避け、コミュニケーションを円滑に進めます。疑問や要点に対する直接的な回答は、無駄な時間を避け、相手の理解を深めるのに役立つでしょう。例えば、あいまいな表現「それは考え中です」よりも、「現在、その問題について調査中で、結果を得られるのは来週の火曜日ではないかと予想しています。また、進捗があればお知らせします。」と具体的に回答する方が、相手は何を期待すればよいか理解できます。
- 簡潔性: 直接的かつ簡潔な返事は、対話が冗長になるのを防ぎます。返答は質問に対して具体的かつ適切に行うべきですが、不要な情報は避けるべきです。例えば、あるプロジェクトの進捗について問われた場合にはその具体的な進捗だけを示せば良いです。
- 双方向性: 相手との連携を強化するために、返答は対話型の一部となるべきです。一方的な会話は避け、相手の意見や感想を求めると、さらに対話が深まります。
このように、返事をするという行為は、単に質問に応答するだけでなく、コミュニケーションの機会を最大限に活かし、相手との関係を深め、情報の共有と理解を促進する重要な要素となります。
聞かれたことにまっすぐ答える
聞かれたことにまっすぐ答えるというのは、話し手としての能力を試される重要なエレメントです。以下に、その技術を磨くためのアプローチをいくつかご紹介します。
問いの本質を把握する
質問の精神を理解し、その後、最も関連性のある回答に集中します。例えば、「今日の天気はどうですか?」と聞かれたとき、一見すると単純な質問に見えますが、本当に求められている情報を理解することが重要です。相手がアウトドアイベントを計画しているなら、気温だけでなく、雨の有無や風の様子も含めた回答が必要でしょう。
前後の文脈を考慮する
質問は独立しているわけではなく、多くの場合、それらは前後の会話と関連しています。「質問の背景や文脈を考え、その文脈に沿った回答を提供します。たとえば、もし相手が「このプロジェクトはどう進んでいますか?」と質問した場合、それは単に現状のレポートを求めているのかもしれませんし、既知の問題に対する解決策を模索しているのかもしれません。文脈を理解することで、適切な答えを提供することができます。
心がけ
雑談のような無目的な会話と違い、ビジネスの会話には目的がある。質問にも、やはり目的があります。
聞く側は真面目に聞きたいことを聞いているのだから、
- 質問にはクローズドクエスチョン(Yes/Noで答える質問)と、オープンクエスチョン(Yes/Noではなく描写や具体例で答える質問)がある。
- 答えるべき形式や粒度がわからなかったら遠慮なく尋ねる。
🙅♂️ 改善できる例: 質問者「先日の問題Aは解決しましたか?」 説明者「いまちょうど取り掛かってて、あとちょっとでどうにかなる気がしますが…」 質問者「解決してないのね?」 説明者「はい」
🙅♂️ 改善できる例: 質問者「先日の問題Aは解決しましたか?」 説明者「いえ、していません。コポン的な原因はA-1で、ここらへんはCが影響する問題なのでDさんにいまきいているところで、きくところによれば…。」 (聞かれてないことを延々と補足してしまう)
🙆♂️ よい例: 質問者「先日の問題Aは解決しましたか?」 説明者「いえ、していません。着手中で、あと少しで解決する見込みなのでまた報告します。」 質問者「わかりました。追加でいくつか確認したいのですが、…」
以上を見比べてみると、結局必要なやり取りはできているように思えますが、なぜ問題なのでしょう?
それは、質問者の頭の組み立て方に沿っていない回答をしているのが問題です。
質問者は「大まかな確認→さらなる確認」という順序で物事を把握しようとして、まず「解決したか?」を聞いたのです。だから、まず解決したかを簡潔に答えましょう。そこから更に情報を深ぼるか決めるのは質問者の仕事です。
質問をうまく活用する
質問をうまく活用するという技術は、双方向のコミュニケーションにおいて非常に重要な役割を果たします。以下にその理由と具体的な方法を詳述します。
- 質問は対話の鍵
対話では、情報を受け取るだけでなく、それを理解し反応することが求められます。質問はその目的を達成するための最良の手段の一つです。質問によって対話の深度を増し、相手がどのように考え、何に重きを置いているのかを理解することができます。
- オープンエンドの質問とクローズドエンドの質問
質問には大きく分けて二つのタイプがあります。一つは開かれた質問(オープンエンドの質問)で、相手に自由に回答させる質問(例:あなたはこの計画について何を感じていますか)。もう一つは閉じた質問(クローズドエンドの質問)で、より具体的な回答を引き出すための質問(例:この計画に賛成ですか、反対ですか?)です。 オープンエンドの質問は相手の視点を広げ、新たな洞察を手に入れるには適しています。一方、クローズドエンドの質問は特定の情報を取り出す際に有用です。
- アクティブ・リスニング
“アクティブ・リスニング”とは、聞くことを通じて対話者の感情や見解を理解する技術で、質問を活用する際に重要な要素です。アクティブリスニングの一部として、理解を確認するための質問を行う(例:「だから、あなたは〜と感じている、ということですね?」)といった技術が含まれます。
- 効果的な問いの構築
質問の質はその効果を大きく左右します。質問は具体的であり、誤解の余地が少ないほどよいです。また、記述的な回答を促すための具体的なキーワードを設けると有効です。
具体的な質問をうまく設計し、それを通じて対話を深める自己の能力を鍛えることは、より効果的なコミュニケーションや良好なリレーションシップを築くために重要です。
自分でも何が言いたいかもわからないとき
時々、自分でも何が言いたいのかがわからないときがあります。これはコミュニケーションの難点の1つですが、それを促進するための効果的な対策がいくつかあります。
- 思考を整理する: 何を伝えたいのかを明確にするためには、まず自分の思考を整理することが不可欠です。これは瞑想的な瞬間を取るためや、自分の考えを順番に並べてみるためのダイアグラムを描くために使えます。最終的には、自分の考えを具象化し、考えを把握するのに役立つ具体的なアイデアや提案へと絞り込むべきです。
- 意見を一時停止する: しばしば、自分が何を話しているのかわからない状況は、自分の考えが未成熟であることを意味します。そんなときは、一旦自分の意見を表現するのを止め、他の人の視点を取り入れてみることが有用です。これにより新しい視点を得ることができ、自分の考えを改善する機会を得ることができます。
- 質問をする: 自分が何を言いたいのかわからないとき、他の人に尋ねてみても良いでしょう。そうすることでコミュニケーションの途中で迷ったり、困惑したりすることを避けることができます。また、他人の観点を獲得するための貴重なツールでもあります。
- 自分の意見を確認する: 自分の考えが他人にどのように伝わるかを理解するためには、自分の意見を確認することが重要です。自分の言葉で自分の意見をまとめ、それらが自分の意図した通りに聞こえるかどうかを確認することで、コミュニケーションをより明確にします。
これらのアプローチを使うことで、自分が何を言いたいのかわからないときでも、自分の考えを分析し、整理し、最終的には明確に伝えることができます。どの戦略がもっとも適しているのかは情況によるため、柔軟に対応することが重要です。
Author
Yasuhiro Yokota
1991-, Designer
大学卒業後、行政機関で情報政策部門で勤務。株式会社ワークスアプリケーションズを経た後、フリーランスでグラフィック・デジタル双方のデザイン及びディレクションを通し、様々なプロジェクトに携わる。株式会社TERASSに創業期からシリーズBまで参画した後、2022年9月にマイベスト入社。グロービス経営大学院卒業。
Drafts
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